📌 3行まとめ
- AI が生成するドキュメントは「流通するのに読まれない」問題を解決すべく、BASE が社内 HTML ホスティング環境 「pon」 を構築。
- 構成は GCS + Cloud Run + IAP の「薄い」3層。認証を IAP に丸投げし、公開事故を構造的に防止。
- エンジニアの plan 共有から始まり、財務・経理など全職種に広がり、社内の「情報の流れ」そのものを変えた。
💡 この記事が刺さる人
AI コーディングで plan・設計メモが大量発生し「内容は良いのに最後まで読む気にならない」と悩むチーム。ドキュメントホスティングを自作しようか検討中のエンジニア・情シス。
🔥 きっかけ:AI ドキュメントは「流通するが読まれない」
AI コーディングが日常化し、実装計画(plan)や設計メモが一気に増加。Claude Code 等に計画を立てさせると、plan ファイルがそのまま成果物として共有されるように。しかし困りごとが発生:
- 😵 Markdown / テキストのまま Slack や Git に流れてくる
- 😵 とにかく長く、プレーンテキストだと構造が頭に入ってこない
- 😵 リンクや図が活きず、コードブロックと地の文が地続きで視線が迷子
「内容は良いはずなのに、最後まで読む気にならない」という摩擦が社内のあちこちで発生していました。
🤔 なぜ Notion ではなく HTML だったのか
❌ Notion の限界
レイアウトが Notion の枠に収まる。凝った表現や AI の整形結果を再現できない。「読みやすくしたいから貼り直す」手間が発生し、誰もやらなくなる。
✅ HTML の強み
AI に「読みやすい HTML にして」と頼むと、見出し・目次・強調・配色まで含めて驚くほど読みやすい1枚が出る。変換を挟まない素直さが勝利。
足りなかったのは「その HTML を、社内の人だけがサッと見られる置き場所」だけ。それなら作ろう、と。
🏗️ 構成:GCS + Cloud Run + IAP(できるだけ薄く)
- 保管:Google Cloud Storage (GCS) — HTML とアセットを置くだけ。バケットにアップロードすれば1ページ完成
- 配信:Cloud Run — GCS の中身を返す薄いサーバー1つ。アクセスなければゼロまでスケールイン、コストほぼゼロ
- 認証:Identity-Aware Proxy (IAP) — この環境の肝。Cloud Run 手前に IAP を噛ませ、Google Workspace アカウント保持者のみアクセス可能
🔑 最大のポイント:認証を自前実装していない
社内ドキュメントで一番こわいのは「うっかり世界に公開」。これを IAP に丸ごと預け、「Google にログインできる社内の人だけ」というアクセス制御を
ほぼ設定だけで実現。昔は IAP に LB が必要で大変だったが、今は Cloud Run に直接 IAP を設定可能で低コスト。
📈 何が起きたか:エンジニアから全職種へ
- 当初はエンジニアが plan を読みやすくするためだけに使用。「読む気になる」と好評で、それだけでも元は取れた
- URL を見た非エンジニアが「自分の資料も置けるの?」と気づく
- やがて財務・経理のメンバーが自分たちの資料を HTML で共有するように
- 社内の情報共有のデフォルトが変化 — 「読みやすい1枚にまとめて URL で渡す」が自然な選択肢に
結果、共有される情報の量と質が両方とも向上。AI に整形を任せることで「読みやすい資料を作るコスト」自体が下がりました。
🛠️ 運用してわかったこと
- ✅ 薄く作って正解 — 「HTML を置くだけ」で書き手は自由、運用側はほぼメンテ不要
- ✅ IAP に寄せて精神的に大 — 「公開事故が構造的に起きにくい」安心感が気軽さを支える
- ✅ デフォルト7日で自動削除 — 置きっぱなし肥大化を防止
- ✅ API と MCP を用意 — CI からパフォーマンスレポート更新、Claude Code / Codex から手軽にアップロード可能
🏷️ ネーミングの重要性
「ファイルをポンと置きたい」という気持ちからサービス名を
「pon」に。すると社内で「資料を pon しました」と自然に話題に上がるように。キャッチーな名前が浸透を加速——社内ツールの名前は想像以上に重要。
✨ まとめ
「AI が生む読みづらいドキュメントを読みやすくしたい」という小さな動機から、GCS + Cloud Run + IAP という薄い構成で実現。技術的に派手さはないものの、エンジニアの plan 共有から始まった使われ方が 全職種に広がり、社内の情報の流れそのものを変えた。「読みやすく共有するコストを下げる」だけで組織の情報の流れはこんなに変わる、というのが最大の発見。