記事の概要
「ちもろぐ」によるミニPC GMKtec EVO-X2 の詳細レビュー。AMD最強格APU Ryzen AI Max+ 395(Zen5世代・16コア32スレッド)+グラボ並みの内蔵GPU Radeon 8060S+LPDDR5X-8000の64GBメモリを、約2.8リットルの小型筐体に収めた“モンスター級”マシン。ゲーミングからローカルAIまで一台でこなすことを目指した製品で、執筆時点で約23.4万円(64GB+1TBモデル)から購入可能。
主要スペック
- CPU:Ryzen AI Max+ 395(Zen5世代・16コア32スレッド、はんだ付け実装)
- GPU:Radeon 8060S(RDNA 3.5・2560コア・最大2900 MHz・理論FP32性能 約14.85 TFLOPS)
- メモリ:LPDDR5X-8000 64GB(8GB×8、はんだ付け・増設不可)
- ストレージ:Crucial P3 Plus(TLC NAND)1TB + 空きM.2スロット1基(ともにPCIe 4.0 x4)
- OS:Windows 11(正規OEM版ライセンス確認済み)
- サイズ:厚み7.7cm×高さ19.5cm×奥行18.7cm=約2.81リットル(一般的なミニPCの約3倍)、本体1.65kg
インターフェイスと通信
- USB 40Gbps(Type-C)×2:40Gbps転送+DP Alt Mode+USB PD(最大15W、実測上限は約14.4W)の3役。外付けSSDで実測約3800 MB/s
- 映像出力はHDMI 2.1/DP 1.4/USB-Cのいずれも4K 165Hz(10bit)出力を確認、最大4画面のマルチディスプレイ対応
- SDカードスロット(UHS-II、実測約220 MB/s)、USB 2.0×2、2.5G LAN、Wi-Fi 7(MediaTek RZ717)搭載
- 通信実測:有線でダウン約2360 Mbps/アップ約2370 Mbps、Wi-Fi 7でダウン約1790 Mbps
- 前面ボタンで電力プロファイル(バランス85W/パフォーマンス120W/静音54W)をBIOSに入らず切り替え可能
- Oculinkポートは非搭載(eGPU増設は不可)
ベンチマーク・実性能
CPU・创作・オフィス
- Cinebench R23(バランス85W時):マルチ約32750 cb。モバイルCPUながらデスクトップのRyzen 9 5900XやCore i9-12900Kを超え、Ryzen 9 7945HXに匹敵。パフォーマンスモード(120W)では約36200 cbだが、電力効率が22%悪化し体感差は小さい
- 動画エンコード(Handbrake):Core i9-13900Hの約2倍。ただしRyzen 9 7945HXには2割近く劣る
- PCMark 10(Office):総合約16556点と余裕のスコア。Photoshop(Puget Bench)は1429点で歴代ミニPCトップクラス
ゲーム性能(内蔵GPU)
- 3DMark Fire Strike GPUスコア約29000点でエントリーGPU「RTX 5050」に匹敵。RTX 4050 Laptopを上回る
- 実ゲーム(フルHD):VALORANT 355 fps、原神(高)149 fps、崩壊スターレイル(高)117 fps、Apex(中)186 fps、鳴潮(パフォーマンス)107 fps など、ほとんどのタイトルで3桁fps
- モンハンワイルズ:中設定+FSR品質で約54 fps、フレーム生成併用で約101 fps。内蔵GPUでまともにプレイできる稀有なミニPC
- 弱点:CPUボトルネックが発生するシーンあり(鳴潮の一部マップ等)。電力をCPUと取り合う構造上、3D V-Cache搭载機ほどフレームを伸ばせない
ローカルAI性能
- LLM(LM Studio / Vulkan):VRAMに32GB割り当てでDeepSeek-R1-Distill-Qwen 7Bが43.15 token/s、14Bが21.97 token/s、32B(Q4_K_M)が10.47 token/sで安定動作。前世代EVO-X1比で約3.1〜3.2倍高速
- メモリ実効帯域幅はiGPU側から最大216 GB/s(理論値256 GB/s)。SOC内に256bitメモコンを持つStrix Halo構造の強み
- AIイラスト(ComfyUI / ROCm 7.1.1):動作するがRTX 3060 12GB比で1.5〜2.1倍遅く、体感的にはRTX 3050〜RTX 2060の中間。Windows版ROCmの安定化は高評価
冷却・騒音・消費電力
- 冷却は銅ベースプレート+3本のヒートパイプ+シロッコファン2基+120mmケースファン。Cinebench中のCPU温度は最大92℃(平均72℃)でサーマルスロットリングなし
- 騒音は弱点:軽い負荷でもファンが一気に回り上がる挙動で、ゲーム中39.9 dB・CPU高負荷時42.7 dB。FanControlによる独自制御も不可(センサー非対応)
- 消費電力:アイドル約14W、高負荷時127〜130W
分解・拡張性
- マザーボードはSIXUNITED製「SU-AXB35-02」(Mini-ITX)。LPDDR5Xが8個はんだ付けされたゲーム機的な設計
- ドライバー2本で分解可能。SSD増設は片面パネルを外すだけでOK、8TB SSDの認識も確認済み
- SSDスロットは2基(うち1基使用済み)で増設は1枚まで。VRMはMPS製IntelliPhaseで最大12フェーズ(余裕十分)
👍 メリット(記事まとめ)
- Zen5世代16コア32スレッドのRyzen AI Max+ 395+大容量64〜128GBメモリ
- RTX 5050に迫るゲーム性能、オフィス用途には過剰なほどの性能
- ローカルAI(LLM 32Bクラス)もそこそこ動く
- USB 40Gbps×2、SDスロット、2.5G LANなどインターフェイスが充実
- 小型・省電力で、Windows 11 Pro(正規OEM版)入り
👎 デメリット(記事まとめ)
- Oculinkポートなし(将来のeGPU拡張の救済手段がない)
- NPU(XDMA2)が役に立たない
- パーツ拡張性は物足りない(SSD増設1枚・メモリ増設不可)
- 高負荷時の動作音が気になりやすい(約40dB超)
- Amazon購入だとメーカー保証1年(楽天はレビュー投稿で18ヶ月)
レビューの結論
執筆者は「CPU+64GBメモリだけで販売価格に相当し、SSD・OS・RTX 5050級GPUを考えれば自作なら30万円近くなる」とし、EVO-X2を「価格破壊級のコストパフォーマンスを持つ最強クラスのミニPC」と結論。代替案も実質なし(同等品は10万円以上高価、またはベアボーン)と評価している。しいて挙げる難点はOculink非搭載と静音性。
※コメント欄では「2/2以降に直販価格が値上がりした」「メモリ高騰の影響」などの声も寄せられており、価格は変動する可能性あり。