記事の概要
「Gemini 3.8 Flash の日本語文章が自然」という話題に着目した著者(医学系MD/PhD・論文・科研費申請のAI活用を発信)が、ChatGPT(GPT)で書いた日本語原稿をGeminiで自然な文章にリライトし、さらにGPTで原文との意味チェックを行うワークフローを、Codex用のスキルとして公開したという記事です。
背景:Gemini 3.8 Flash の日本語は良いがクセがある
- Gemini 3.8 Flash の日本語が自然だと話題になった発端は、まつにぃさん(@yugen_matuni)の9月2日の投稿。
- 著者が科研費の申請書のリライトに試したところ、確かに文章は自然になる。
- しかし Gemini 3.8 Flash はあまり賢くないため元の文脈を読み違え、意図したニュアンスや意味まで変わってしまうケースがあった。研究計画が読みやすくなっても内容が不正確では困る、というのが悩み。
- その悩みをXに投稿したところ、@sakaiyさんから「Geminiによる言い換え+GPTによる送信前後の監査」を組み合わせるヒントをいただいた(語彙が平易になりすぎる問題には、申請書・報告書向けのインストラクションを追加)。
ワークフロー:「細かく縛るより、自由に言い換えてから確認する」
最初はGeminiに細かなルール・制約を指示して校正させていたが、指示を細かくするほど原文に引っ張られて変化が乏しくなり「AIっぽさ」が抜けきらなかった。そこでGeminiへの指示を「自然な日本語にしてください」程度まで緩めたのがポイント。
- まずGPTで、内容や論理構成を重視した原稿を作成する。
- CodexからAntigravity CLIを呼び出し、Gemini 3.8 Flash(High)に自然な日本語へリライトしてもらう。
- Codex(GPT)が原文と照合して、意味・ニュアンス・主張の強さが変わった箇所を指摘し、Geminiに再修正してもらう。
GPTのレビュー観点については、以下の公開資料を参考にしています。
- SmartHR Design System「伝わる文章」 — 読み手の負担を減らす考え方、主語・助詞・重複表現の推敲観点
- coji「natural-japanese」(GitHub) — 用途別に参照資料を分ける構成、文脈に応じた判断の設計
- k16shikano「日本語技術文書の文章規範」(Gist) — 段落の役割、論理のつながり、空疎な言い回しの点検
- tqkqt0「humanizer-jp」(GitHub) — 日本語の文体パターン整理、元の情報を保持する方針
ブラインド検証:3通りのリライト案を読み比べ
「生成方法を伏せた状態でシャッフルして自分で読み比べる」検証を実施。比較したのは次の3パターン(対象はnote記事の原稿と、医学研究の計画説明文の2種)。
- Geminiに自由な表現でリライト→GPTで原文照合→必要箇所をGeminiに再修正
- 公開されている「日本語のAIっぽさをなくすスキル」をGeminiに適用してリライト→照合・修正
- 同じ公開スキルを使いGPTにリライト
結果:どちらの文章でも1位に選んだのは「①自由なGemini+照合・修正」。②と③の順位は文章の種類で入れ替わった。著者自身は「まずGeminiに伸び伸びと言い換えてもらってから、意味のズレを後から整える」進め方がしっくりきた。
※著者自身による個人的な検証であり、スキルやモデルの優劣を一般化するものではない、と注意書きがあります。
GPT側にも制約を詰め込みすぎない
- かつてGPTにも「避けるべき表現・文体」を事細かに指示していたが、文体を縛りすぎるとモデル本来の能力まで抑えてしまうと感じている。
- 要点・条件はしっかり伝え、まず自由に書かせて、細かな言い回しは後から整える方が良い。
- 個人的にはClaude(Fable 5.1 / Opus 5)の日本語の方が好みだが、最近のClaudeにもAIっぽさがあるので、Claude原稿に対してもGeminiリライトの価値はあるそう。
公開スキルの導入方法(Antigravity CLI)
1. インストール
Codexから呼べるよう同一環境にAntigravity CLIをインストール(Codexに「Antigravity CLIをインストールして」と頼んでもOK)。
# macOS / Linux
curl -fsSL https://antigravity.google/cli/install.sh | bash
# Windows (PowerShell)
irm https://antigravity.google/cli/install.ps1 | iex
# 動作確認
agy --version
2. Googleアカウントでログイン
agyを実行し、初回はブラウザでGoogleアカウント認証。一度ログインすれば非対話モードでも認証情報が引き継がれる。/modelでGemini 3.8 Flash(High)を選択できる(スキル側でモデル指定するため必須ではない)。確認後は/quit。- 利用枠は契約プランにより異なり、無料枠は無制限ではない点に注意。
3. スキルをCodexに追加
- 公開スキルのフォルダごと
~/.agents/skills/に配置(SKILL.mdだけでなくスクリプト・参照資料を含めフォルダ全体)。 - Codex CLIで
/skillsまたは$からスキルを選択(一覧に出なければCodexを再起動)。 - 例:「このスキルを使って、Geminiで原稿を自然な日本語にブラッシュアップしてください。」
注意点:最後は自分でも確認する
- GPTレビューを挟んでも意味の微妙な変化を100%検知できるとは限らない。
- 原文自体に誤りがある可能性もある。
- 外部AIに送ってよい原稿だけを扱い、科研費・論文の最終稿は自分でも確認すること。
この記事から得られる学び
- LLMのリライトは「自然さ」と「意味の正確性」のトレードオフがあり、役割分担(生成・言い換え・照合)を複数モデル/ツールで分けるのが有効。
- プロンプトは細かく縛るより、自由にさせてから後工程で直す方が「AIっぽさ」が抜ける。
- Codexのスキル機構とAntigravity CLI(
agy)を組み合わせると、GUIを介さず一連のパイプラインを回せる。